マラセチア皮膚炎
マラセチアは平均長径が約3〜5μと小型の真菌であり、通常人や動物の皮膚や外耳道表面に生息しています。
普段マラセチア自体は皮膚炎を引き起こすことはありませんが、異常に増殖した場合菌体成分や代謝産物が皮膚炎を引き起こすと考えられています。
またマクロファージなどの抗原提示細胞がマラセチアを貪食することで、二次的にマラセチアに対するアレルギー性皮膚炎になることもあります。
湿度の高い日本では増殖しやすく、特に梅雨の時期には注意が必要です。
【症状】 紅斑、痒み、色素沈着、脱毛、脂漏、落屑、皮膚の肥厚、臭気(特に外耳道)外耳炎の場合耳垢が溜まりよく頭を振ることもあります。爪周囲炎を引き起こすことも多々あり、その場合はは爪の表面が脂っぽくなり、色素脱失や発赤が見られるようになります
【好発犬種】 ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、コッカー・スパニエル、プードル、ダックスフンド、ボクサー、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなど猫でも稀にあります。
【好発部位】 外耳、口唇、鼻、趾間、首の腹側、脇、内股、会陰部
【検査】 ・病変部角質または耳垢の押捺塗抹検査(スタンプ検査) 顕鏡して、400倍視野で複数の菌体を認める
マラセチア鏡見像
【治療】 ・シャンプー洗浄 ・消毒薬、抗真菌薬の外用 ・抗真菌薬の内服 ・副腎皮質ステロイド塗布、内服 ・基礎疾患の治療
基本的にはシャンプーや洗浄が基本的な治療となり、治療の反応が悪く症状が局所の場合外用薬、全身症状がある場合は内服薬を用います。
再発を繰り返す場合は再発性マラセチア皮膚炎と呼び、シャンプー洗浄と外用薬による予防が推奨されます。
皮膚炎はそのままにしてしまうと慢性化してしまうことも多いので、上記の症状がありましたら動物病院に行くことをお勧めいたします。
その他にも心配なことや、不安なことはお気軽にご相談ください。
執筆担当:獣医師 川嶋
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