アポクル予約
※インターネットからの予約方法

※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

乳腺腫瘍
乳腺腫瘍とは、その名の通り乳腺に発症する腫瘍のことです。
診断は乳腺の触診によって行うのが一般的で、腫瘍の大きさと周囲のリンパ節の転移の有無によってステージ分類を行います。
まず、犬の場合、その半数が良性とされていて猫よりも多くの症例で適切な治療により比較的良好な予後が期待できるとされています。一方、猫の場合乳腺腫瘍の90%が悪性とされていて高齢の未避妊の個体での発症率が高いことが知られています。
犬の乳腺の画像です。
猫の乳腺の画像です。
発生部位においても犬と猫では差が認められます。犬の場合、乳腺は通常左右5対存在し乳腺組織の多い4-5乳腺に腫瘍が多く発生します。
一方猫の場合、4対存在するいずれの乳腺においても腫瘍が発生する可能性があり、同時に複数個所で発生する場合も少なくありません。いずれにおいても隣接するリンパ節や肺への転移の有無の確認が必要で、それによってステージ分類をしていきます。
乳腺の部分にしこりや腫れが見られた場合、
1.触診
2.腫瘍の発生部位
3.細胞診(FNA)による他の皮膚腫瘍の除外
4.画像検査による転移の有無
以上の検査で診断を行います。細胞診では、乳腺上皮が観察されるのが特徴です。
細胞診が重要となる理由として、乳腺に発生する腫瘍の1つである'炎症性乳癌'と呼ばれる挙動がとても悪く手術すら適応にならない癌もあるため上述したデータベースによる診断により他の腫瘍を除外するためです。
実際の症例の乳腺腫瘍の外貌の写真です。
写真の通り、乳腺腫瘍の大きさが大きいほど悪性である確率は高くなりますが、小さいからといって必ずしも良性とは限りません。そのため、見た目や大きさで腫瘍を判断することはできません。
また、良性の腫瘍を放置することで悪性に転化する場合もあります。

乳腺腫瘍の治療法は、犬と猫で異なります。
猫の場合外科手術が最も重要とされていて、完全に腫瘍を取りきることがポイントになってきます。そのため、罹患乳腺を含めた片側、あるいは両側の乳腺全摘出が推奨されています。罹患乳腺のみの摘出だと再発する可能性が高くなってしまうからです。さらに、乳腺の病気を持っている場合合わせて子宮や卵巣の疾患を持っている子は少なくありません。そのため、当グループ病院では、再発および予防を目的に乳腺腫瘍摘出と避妊手術の併用を推奨しています。摘出した乳腺と子宮卵巣を病理に提出することで良性か悪性かの確定診断となり悪性の場合外科のみでは不十分な場合が多いため、化学療法による治療も必要になってきます。
犬の場合、猫と同様外科治療が第1選択としてあげられますが手術の方法にはさまざまな選択肢があげられます。
腫瘍の切除の範囲によって画像のような方法があげられます。
猫の片側全摘出をした症例の手術後の写真です。
①腫瘍発生乳腺のみの切除
②腫瘍のある側のリンパ節支配領域の切除
③腫瘍がある側の乳腺をすべて切除
④左右すべての乳腺切除

術式の選択は、目的によって異なるため達獣医師と飼い主様との話合いで決めていきます。

乳腺腫瘍の発生にはホルモンが関係しており、乳腺腫瘍以外にも避妊手術をしていないわんちゃん猫ちゃんの場合子宮や卵巣に関連する病気を発症する確率が高くなってしまいます。
わんちゃん猫ちゃんを飼い始めて初めて行う手術が避妊や去勢手術で抵抗感や太りやすくなってしまうことを考えるとためらってしまう気持ちがあるかもしれません。避妊や去勢の相談もいたしますのでお気楽にご相談ください。

執筆担当:獣医師 尹
動物医療センター元麻布トップページ
港区元麻布3-1-34 カピラ麻布1F
TEL03-6384-5351