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※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

橈尺骨骨折の整復
犬は後肢の筋肉のほうが大きく見えるため、後肢の方に負重が多いと思われがちですが、実際に測定していくと前肢に体重の6割、後肢に4割という報告が出ています。後肢は瞬発力を引き出す力が大きいのですが、普段生活している分には前肢の方に体重がかかっているのです。また、トイプードルやポメラニアン、ヨークシャーテリアなどは体重の割に足が細長く、前足の負担が大きいことも相まって、ちょっとした段差から落ちただけでも骨折してしまうというケースが多く見られます。今回ご紹介するのも、散歩中に道の段差を飛び越えようとしたら転んでしまい、その後から前肢を挙げてしまうという主訴で来院されました。
今回ご紹介するのはトイプードル4ヶ月齢、体重1.7kg(!!)の子で、X線を撮影し左前肢の橈尺骨骨折と診断しました。
緑矢印が骨折部位です。長い骨の端の方で折れることを、骨幹端骨折といいます。斜めに折れているので、診断名は、左橈尺骨遠位骨幹端斜骨折となります。
実際に手術しているところです。
折れた骨にプレートを当てているところです。骨折部位もわかるかと思います。
医療用ドリルを用いて骨に穴を開けているところです。このように下穴を開けてから、スクリューを打ち込んでいきます。
整復終了時の写真です。プレートを2枚入れて固定しています。この後、上腕骨から骨髄移植を行い終了となります。
術後のレントゲン写真です。骨折部位はきちんと整復され、アライメント(骨の向き)も真っ直ぐになっています。
今回の子は体重1.7kgで骨も細かったため、1.3mmと1.1mmのプレート・スクリューを選択しました。このように、体重や骨の太さ、活動性に基づきプレートやスクリューを選択し、形に合わせてプレートを曲げたり、捻ったりして骨に合わせていきます。
1週間で退院となりますが、退院時には4本足で歩いて帰れることがほとんどです。2週間後には抜糸となり、28〜42日後には正面のプレートを抜去していきます。そうすることで、プレート抜去後の再骨折を可能な限り最小限にすることが可能となります。



少し前に手術を行い、すでに骨折が癒合している子をご紹介します。
少し位置が異なる別の骨折の子のレントゲン画像です。骨の中央付近の骨折なので診断名は橈尺骨骨幹部短斜骨折となります。こちらも直ぐに手術を行いました。
骨折端からの距離に余裕がある場合には真っ直ぐなプレートを設置します。
正面のプレートを取ったところです。骨折部位はきれいに癒合しており、尺骨も癒合しているのがわかります。このようにいっぺんにすべてのプレートを取るのではなく順序立てて取ることで(ディスタビライゼーションといいます)、スクリューが入っていたところでの骨折を予防することができます。
次にイタリアングレーハウンドの骨折を紹介いたします。イタグレは骨周囲の軟部組織が少なく、骨折治療を行ったにもかかわらず、骨が癒合せず細くなってしまう子がいます(癒合不全といいます)。そのため、最初の固定を強固に行うのはもちろんですが、骨癒合が進んだ段階で固定強度を落とす事が重要となります(ディスタビライゼーションといいます)。1枚のプレートでスクリューの数を減らす方法と2枚のプレートで1枚ずつ抜去していく方法がありますが、プレートが2枚の方がディスタビライゼーションを行った後の再骨折リスクを減らせるため(ロッキングという方法では抜去のタイミングが難しい)、当院ではそちらの方法で行っています。2枚のプレートを使った方法をオルソゴナルプレートといったり、ダブルプレート法と言ったりします。
橈骨遠位骨幹端での骨折が確認できました。
完全に折れてしまっている状態です。
2枚のプレートで固定しています。1つはLCPというプレートですが、スクリューは通常のスクリューを用いています。
術後のレントゲンです。足は真っ直ぐになり、骨折線もくっついているのが分かります。
術後2日間はバンテージを行い、腫れの様子次第で3日目にはバンテージオフしていきます。
手術して次の日の歩行動画です。まだバンテージが着いた状態なのであるきにくいのですが、腫れを引かせるために必要な処置となります。

術後3日目の歩行状態です。

このようにしっかり着いてくれる事がほとんどで、足をしっかり使うことで骨の癒合が進んでいきます。ですので、歩くだけでリハビリになることが多く、術後のリハビリを必要としない子も多いです。


なるべく早い治療が骨折をきれいにきちんと治せる一つのポイントとなります。骨折でお困りのときにはご相談ください。

執筆担当:獣医師 磯野
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