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※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

脛骨近位成長板骨折(サルターハリスⅠ型)
以前上腕骨の 成長板骨折の際にお話させていただいた成長板骨折のなかでも今回は、脛骨近位の成長板骨折、サルターハリスⅠ型をご紹介します。脛骨は人で言うスネの骨で、膝下部分の大部分を担う骨です。若齢期に存在する成長板は通常の骨より柔らかく、少しの衝撃でも剥離してしまったり折れてしまうことがあります。
今回はジャンプして降りたあとから足を痛がり挙上するという主訴で来院されたフレンチブルドッグを紹介いたします。

触診上右後肢の筋肉量の低下が認められ、X線画像検査を行うと脛骨近位が骨折しているのが確認されました。
左の画像が患肢で、右は反対の正常肢です。成長板とよばれる少し黒っぽいところで、矢印の部分が右側にずれてしまっているのが確認できます。
脛骨近位は血流が豊富で、特に若齢では癒合が早いため、このずれた状態のまま放っておくとその形で癒合してしまい(変形癒合)、足を着くことができなかったり、後々に前十字靭帯断裂などの重大な合併症を引き起こしてしまいます。そのため、なるべく早期に手術を行い、ずれた骨を正しい位置に戻し固定することが重要となります。
手術ではまず、ずれてくっついてしまった骨を剥がすところから始まります。1週間でもかなり癒着が進んでいたため、それを一度剥がし、正しい位置に戻しました。骨折の固定には一般的にプレートスクリューを用いることが多いですが、成長板骨折の時は別で、成長板をまたいだ固定は禁忌とされているため(成長が阻害され骨が伸びなくなってしまう)、キルシュナーワイヤーとテンションバンドワイヤーという方法により固定を行いました。術中はCアームと呼ばれるレントゲン透視装置を用いて、正しい位置にピンが刺入されているかを確認しながら手術を行いました。
術後のレントゲン画像です。ずれていた骨片は正しい位置に戻っているのがわかると思います。左下から右上に打っているピンは、骨片が右にずれないようにするストッパーのような役割をしています。
術後2日目から負重を始め4本足での歩行を始めてくれました。


術後約1ヶ月ほどでインプラントを抜去します。
今回のように早期手術を行うことで後遺症なく治療することが可能な事が多いです。足をけんけんする、足を痛がる、跛行する、挙上する、腫れているなどの症状がある場合には早めにご相談ください。

執筆担当:獣医師 磯野
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