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苦手な方はご注意ください。

前十字靭帯断裂に対する治療:TPLO(Tibial Plateau Leveling Osteotomy:脛骨高平部水平化骨切術)
前十字靭帯とは膝の内部にある最も太い靭帯で、歩行や起立する際に最も重要な役割を担っている靭帯です。犬は人と異なり常に後肢を曲げた状態で起立しており、膝の骨格的に人よりも負荷がかかりやすい状態です。特に脛骨のTPA(脛骨高平部角)と呼ばれる角度が高いほど前十字靭帯に負荷がかかりやすくなっています。
そのような理由から、人ではスポーツをしている人などの負荷がかかりやすい人が罹患しやすい疾患ですが、犬や猫はジャンプしたり、転んだりという簡単なきっかけだけでも、前十字靭帯が切れてしまうことがあります。前十字靭帯が断裂すると負荷がかけられず、挙上や跛行(ケンケンする、足を上げてしまう)といった症状が出ます。同時に半月板という軟骨を損傷することもあります。
断裂した前十字靭帯は自然に戻るということはなく、手術による外科治療が必要になるケースがほとんどです。自然に安定化することもありますが、もとのような運動能力までは戻りません。手術には人工靭帯により固定する方法(ラテラルスーチャー・Flo法)やTPLOという方法があります。近年ではTPLOの方が機能回復が良く、TPLOを行う症例が増加してきています。今までのラテラルスーチャー法では7〜8割までしか機能回復が望めませんでしたが、TPLOであれば9割からそれ以上回復できると言われています。さらにTPLOは再発しにくい手術でもあります。
TPLOはTPAを減らすことで靭帯が断裂した状態でも負重を可能にする、機能的安定化術という方法です。特殊なサジタルソー(ノコギリのようなもの)で骨を円形に切断し、TPLOプレートと呼ばれるロッキングプレートで固定します。
正常な膝関節のレントゲン画像です。大腿骨と脛骨のライン(矢印)がほぼ一致しているのがわかります。
前十字靭帯断裂の膝関節です。ずれているのがおわかりでしょうか?
矢印を入れたものです。正常なものと比較すると一目瞭然でずれているのがわかるかと思います。
脛骨高平部角(TPA)と呼ばれる角度です。これが高いために前十字靭帯が切れやすくなります。
手術の際にはこのように様々な角度や距離を測定し、円の部分で骨切りを行います。
術後のレントゲン画像です。先程までずれていた矢印が合っているのがわかります。
またTPAと呼ばれる角度も小さくなっているのが確認できます(6°)。6°前後が理想的と言われています。
最も右にあるのが今回用いたTPLOプレートです。最近は更に小さいものもあり、2kg代の子でも手術できるようになっています。
TPLOに用いる整形外科器具です。特殊な円形のブレードも各種サイズがあります。最も小さいものは8mmから最も大きいものは30mmまであります。
術後は早期に歩行し出すことが多い手術で、退院するときにはバンテージなどはせず、歩いて帰ります。逆に歩いたほうがROM(可動域)が維持できて良いです。足を上げてあまり使ってくれない子にはリハビリテーションを行っていきます。リハビリテーションはマッサージやバランスボールから始まり、水中の中を泳ぐ水中トレッドミルや、水泳などを行うこともあります。

港区で整形外科を手術できる病院は少ないようですので、足をけんけんするなどの運動器疾患でお悩みの方は電話などでご相談ください。

執筆担当:獣医師 磯野
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