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距骨の離断性骨軟骨炎(OCD)
骨軟骨症とは骨端成長板および、関節の軟骨における細胞分化の障害です。その影響で関節軟骨が傷害されやすくなり、軟骨が剥がれてしまうと離断性の骨軟骨炎(関節に炎症が起きる)となります。最も頻繁に見られるのは肩関節で大型犬に一般的に確認されます。今回ご紹介するのは足根関節の離断性骨軟骨炎、特に距骨と呼ばれるところに発生した症例をご紹介します。
症例はチャウチャウの7ヶ月齢で抱っこしようとしたらキャンと鳴き、その後から後肢を痛がり、挙上するとのことで来院されました。他院でX線画像検査をしたけれどわからないとのことでしたが、当院でもX線を撮影し、明らかな異常を確認することはできませんでしたが、膝・足根関節を伸ばすと非常に痛がるという状況でした。膝を伸ばしたり、足根関節を触ると痛みが強いので、関節鏡検査による膝関節の観察および、CT検査を実施することになりました。
関節鏡検査では前十字靭帯断裂、半月板をメインに観察しており、一部血管が入り込んでいる場所があったものの断裂所見や損傷所見は認められませんでした。
CT画像検査による3D画像検査になります。矢印の部分が遊離してしまっている骨片となります。
CT画像のMPRです(3方向で切って確認する画像)。矢印の部分が遊離骨片です。
正常な距骨のCT画像MPRです。裂け目がないのがわかると思います。
X線画像ですが、こちらでは明らかな異常はわかりませんでした。
距骨の離断性骨軟骨炎は稀な疾患であり、治療は遊離した骨片の除去もしくは固定を選択する形になります。今回は骨片が大きいため、固定を行う目的に手術を行いました。しかし、術中に骨片と骨との整合性がなく(ピタッと合わない。合わせてもグラグラしている)、固定しても癒合しない、さらには痛みの原因となると考え、今回は除去を選択しました。除去した骨片は病理検査に依頼したところ「壊死」という答えでした。そのため、やはり除去せざるを得ない状況であったと考えられました。術後は早期に痛みが取り除かれ負重を開始し、2週間後には元と同じように使えるようになりました。
離断性骨軟骨炎は早期治療を行っても年齢とともに関節炎が進行していきますが、早期に診断・治療を行うことで予後を改善することができます。今回のようにX線画像検査だけでは診断することが困難な場合も多いです。
なかなか原因が分からない、良くならないなどの事があればご相談ください。

執筆担当:獣医師 磯野
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