3Dプリンターによる手術計画
手術では術中の判断も大切ですが、術前の計画が最も大切であると言われます。整形外科は骨を扱う手術となりますが、骨のCT画像検査と3Dプリンターは相性が良いです。近年では術前計画として3D骨モデルを作成し実際に手術前の予行演習として手術を行う手段が取られるケースがあります。今までも難易度が高い手術では3D骨モデルを外注で作成し手術を行うことがありましたが、ついに当院に3Dプリンターが導入されました。それにより、今まで指示を出すことが困難であった細かい設定ができるようになり、何より迅速な対応が可能となりました。また、いくつか作成することで何度でも予行演習が可能であり、手術の精度を上昇させることが可能となりました。
フュージョンテクノロジー社のL-DEVOというプリンターです。
整形外科手術の中でも難易度が高いとされる、膝蓋骨内方脱臼Grade4(パテラと呼ばれる疾患です)や粉砕骨折、矯正骨切り術、椎体手術などは以前からCT画像検査を行ってから手術を実施していましたが、CT画像はパソコン上でのイメージとなるため、実際に切ったりくっつけたりすることは不可能でした。
CT画像です。これだけでもかなりイメージはつきやすくなります。
パソコンは2Dの画面で見るわけですが、実際の骨の変形は3次元で変形するため(ねじれや湾曲)、それをCT画像から想像するのは容易いことではありませんでした。しかし、実際のモデルを作成することで3次元的な評価が可能であり、実際に模型で手術してみることでその結果を判断することが可能となります。
作成しだしたところです。
作成が完了したところです。
完成品です。先程のCT画像と同じ症例です。
猫の頭蓋骨です。こういった複雑な構造も理解がたやすくなります。
椎体不安定性のモデルです。複雑な形状をしているため、術前計画として作成しました。
CT画像が必要となりますが、難易度の高い手術でお悩みの方はご相談ください(説明だけのために作成することも可能です。)。
執筆担当:獣医師
磯野
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