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上腕骨遠位外顆成長板骨折(サルターハリスⅣ型)
正式には骨端軟骨という骨の端っこ(骨端)に存在する軟骨組織のことをいい、成長期の骨の成長を担っていることから成長板と呼ばれたり骨端板と呼ばれたりします。この成長板から細胞が分裂し、成長して大きくなることで骨が長く大きく成長していきます。
個体差にもよりますが、骨格が安定する11カ月齢頃になると成長板は完全に骨に置換され、骨の成長が終わります(成長板の閉鎖)。この成長板ですが成長には欠かせない組織ではありますが、欠点として、通常の骨より柔らかい組織であるため、折れやすく障害を受けやすいというのがあります。そのため、若齢動物では成長板の骨折が多く発生します。成長板の折れ方によってⅠ〜Ⅴまでのタイプ分類されており(サルターハリス分類)、数字が大きいほど成長板への障害が大きく残ります。障害が起きるとそこで成長板が成長を止めてしまい骨が湾曲したり、関節の不均衡を起こすことがあります。
さて、今回ご紹介するのは上腕骨と呼ばれる二の腕の骨。上腕骨の肘に近い部分での骨折です。抱っこしていたら飛び降りてしまい、着地した後から前足をケンケンするとのことで来院されました。触診上かなり痛がり、X線で左上腕骨遠位外顆骨折サルターハリスⅣ型と診断しました。Ⅳ型は関節内も骨折しているタイプで、骨折線をピッタリとあわせ強固に固定することが重要となります。
治療には手術が必要となります。外側からのアプローチを行い、関節内まで観察できるところまで開創します。骨折片を確認しCアームと呼ばれる透視装置を見ながら骨片を合わせます。骨片が合ったら仮固定のピンを挿入し、その横にラグスクリュー法と呼ばれる方法で骨片を圧着させます。スクリュー1本だと骨片が回転することがあるため、アンチローテーションピンと呼ばれるピンを横に刺入して終了となります。
術前のX線画像です。どこが折れているかお分かりでしょうか
骨折部位のアップになります。矢印の部分が骨折断端となります。
これが左の上腕骨を前方からみた写真です。
下の、黄色い線の部分で折れてしまったのが今回の骨折です。
術後のX線画像です。ずれていた骨を太めのスクリューと、細いピンで固定しています。骨折線がわからないレベルまで固定できています。
術後は約3日間バンテージを行い、その後は自由歩行となります。関節の骨折などは動かさないで固定したままにしてしまうと可動域が減少し、リハビリに時間がかかり、ひどいと後遺症が強く出るケースが有るため、逆にある程度の運動をしたほうがよいです。 入れたインプラントは約2ヶ月後に抜去していく予定です。
術後2週間のレントゲン画像です。少し仮骨が出てきており、骨折線が分からなくなりました。この仮骨が減ってきたらインプラント抜去になります。


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執筆担当:獣医師 磯野
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