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苦手な方はご注意ください。

輸血
貧血や重度の出血がある場合に行う緊急的な治療の1つです。
実施にあたっては「レシピエントに適したドナーからの血液製剤の選択と準備」がとても重要です。
輸血可能な血液かどうかを調べるには①血液型検査と②クロスマッチ試験を実施します。
万が一適合しない血液製剤を輸血してしまうと、抗体が反応し、重篤な急性溶血反応を起こしてしまうことがあるため、必ず事前に検査を行います。
①血液型検査
私たち人間ではABO式やRh式など血液型の分類があるように、わんちゃんねこちゃんにもそれぞれの血液型があります。

*わんちゃんの場合
 血液型の分類はDEA式を用います。たくさんの血液型がありますが、その中でも最も重要なのはDEA1.1の判定です。
 DEA1.1には陽性(+)と陰性(-)があり、専用の検査キットで判定を行います。
 判定結果から以下の図をもとに輸血可能な血液を選びます。

*ねこちゃんの場合
 血液型の分類はAB式を用います。血液型はA型、B型、AB型の3種類あり、日本にいる多くのねこちゃんはA型と言われています。
 B型は少なく、AB型はさらに稀であるとされています。こちらも専用の検査キットで判定を行います。
 判定結果から以下の図をもとに輸血可能な血液を選びます。
↑↑血液型検査キット
②クロスマッチ試験
血液型の判定により輸血可能な血液を選び、実際にドナーとレシピエントの血液を混ぜて肉眼的に適合するかどうかの判定を行います。
それをクロスマッチ試験と言います。
万が一クロスマッチ試験において血球の凝集が認められた場合には不適合となります。
上記のような事前の検査をしっかりと行い、適合する血液製剤が用意できたら輸血実施となります。
動物たちの医療においては、私たち人間の医療のような血液バンクの全国的な組織がなく、
必要な場合にその都度ドナーの動物たちから新鮮な血液を分けてもらっているのが現状です。
当院でも今までたくさんの飼い主様とわんちゃんねこちゃんたちにご協力いただき、輸血療法を実施して参りました。
ご協力いただいている皆様に心より感謝申し上げます。
もし献血にご協力いただけます飼い主様とわんちゃんねこちゃんがおりましたら、当院スタッフまでご相談いただけますと幸いです。
より多くの動物たちの命を救うため、何卒ご理解とご協力のほど宜しくお願い申し上げます。

執筆:獣医師 山本