アポクル予約
※インターネットからの予約方法

※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

糖尿病治療について
犬や猫も、私たちと同様に糖尿病になることがあります。
高血糖が持続的であることと、尿検査にて尿糖が認められることで診断に繋がります。

●病態生理
食事から得られる糖質は単糖類(グルコース)へと分解され、消化管から吸収されて血液中に分布し、全身へ運ばれます。そして、体中の細胞がこれらのグルコースをエネルギー源(ATP)に変換して生命活動を維持しています。このように血液中に含まれるグルコースの濃度のことを血糖値と呼びます。

通常体内では、血管内のグルコースが一定量を超えて蓄積しないように恒常性が保たれています。この重要な役割を担うのが、膵臓から分泌されるインスリンと呼ばれるホルモンです。インスリンが筋肉や脂肪などの細胞膜にある受容体と結合することで、グルコースが細胞内へ取り込まれるようになり、これにより血糖値が下がるという仕組みです。

●糖尿病の種類
糖尿病は、高血糖が持続する際の機序によって2種類に分けられます。
自己免疫疾患や膵臓の機能障害などによりインスリンの分泌不足や欠乏が起こり、インスリン量依存性に血糖値の変動がみられるのが1型糖尿病です。そして、クッシング症候群や慢性膵炎、肥満、ストレスなどによりインスリン感受性の低下あるいは抵抗性が増大することで、インスリンの分泌量とは非依存的に血糖値が変動するのが2型糖尿病です。犬では1型、猫では2型が多いと言われています。

●血糖曲線と自宅でのケア
初めて糖尿病と診断された場合は、数日~1週間程度の入院により今後のインスリン投与量を定めます。持続的な高血糖を示すこの病気では、インスリンの投与不足または過剰投与が命にかかわるため、監視下での慎重な血糖値観察が必要となります。病院では食事やインスリン投与のタイミングを記録しながら数時間ごとに血糖値を測定し、血糖曲線を作成して投与量を検討します。

インスリン投与量が不足し高血糖状態から脱することができずに長期間が経過すると、糖尿病性ケトアシドーシスと呼ばれる重篤な緊急疾患を併発する可能性があります。いつもより呼吸が早い、元気食欲がなく横たわっているなどの症状には注意が必要です。また、インスリンを過剰に投与あるいは投与効果が強く出てしまった場合には、低血糖となるリスクがあります。元気がなくぐったりする、さらに発作のような症状がでている場合はすぐに来院されることをお勧めいたします。また、入院中には上記症状がみられなかった場合でも、ご自宅での療養に切り替えたタイミングや、お引越し、ほかにフードの変更や新たな同居ペットを迎えた時など、何らかの環境ストレスが予想される際にはご注意ください。ご家庭での管理には、採血することなく血糖値が判定できる連続グルコース測定器「リブレ」などが有用です。

●療法食の選択
適切な食事管理により血糖コントロールを良好に保つことで、糖尿病治療は維持期・安定期へ移行しやすくなります。糖尿病療法食の食餌タイプとして、高蛋白、低~中炭水化物食、低~中等度の脂肪、中~高繊維食が存在します。これらの食事を与えると炭水化物の摂取が抑えられ、繊維による糖質の吸収遅延効果が現れるため、食後の高血糖を抑えられて血糖値の管理がしやすくなります。ただし、膵炎や腎臓病などの併発疾患がある場合は糖尿病療法食を必ずしも優先する必要はありません。また、犬の場合はインスリン欠乏に起因して発症することが多いため、あくまで定期的なインスリン補充が主治療となります。


当院でもたくさんのわんちゃん・ねこちゃんとその飼い主様が、糖尿病と向き合い通院されています。合併症も多く、定期的な経過観察が大切な病気でもありますので、お困りごとや些細な気づきがございましたら、お気軽にご相談ください。