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苦手な方はご注意ください。

消化器症状を呈する感染症[ジアルジア]
ジアルジアとは、主に小腸に寄生する原虫でペットショップやブリーダー、保護施設の犬で感染率が高く特に子犬で高率であることが知られています。
主な症状は、軟便や下痢(1日数回~数十回とさまざま)、粘液便などの消化器症状、重篤化すると衰弱感、体重減少、腹痛、悪心などが認められます。
症状がみられるのはほとんどが子犬に限定され、子犬であっても不顕性感染が極めて多いのが事実です。さらに、症状が発症しても一過性の軟便や下痢、粘液便などを示す程度で、多くは重症化することなく回復します。悪化する原因は他の消化管内病原性寄生虫や微生物の影響とも言われています。

今回ご紹介するのは1週間前に軟便から始まり持続的な下痢を主訴に来院された症例をご紹介します。症例は、2ヶ月齢のポメラニアン、未避妊雌で来院前日から食欲が落ち元気がないということでした。当院ではまず血液検査、X線検査、糞便検査を行いました。
血液検査では、血糖値の低下(=低血糖)及び低タンパクが認められ白血球と炎症マーカーの上昇から感染症が疑われました。
X線検査では、特に大きな異常はありませんでした。
院内の糞便検査では、多数の運動性のあるらせん菌と桿菌が認められました。それらをを糞便中のウイルス遺伝子検出のため外部の検査に依頼しました。

以上のことから、低血糖および低タンパクの改善に対する対象療法を行うべく入院治療となりました。
こちらが、入院2日目の院内での糞便検査で見られたものと同様のものです。
こちらの矢印で示す寄生虫がジアルジアの栄養体と呼ばれる形態で、この栄養体が下痢などの病害をもたらすことが知られています。
外注検査でもジアルジア遺伝子が陽性という結果が出たので、入院2日目からジアルジア症の治療となりました。

ジアルジアの治療法は、一般的にメトロニダゾールやチニダゾールと呼ばれる駆虫薬の使用です。
この症例は、入院治療下で一般状態の改善が見られたため入院6日目に退院、入院2日目から駆虫薬を内服し退院後も3日間内服を続けました。そして、薬を飲み切ったタイミングで再度便検査をしジアルジアの駆虫が確認できたため治療終了となりました。


近日、家での時間が多くなり新しい家族を迎え入れる方が多くなっていると思います。
些細なことや気になる症状などありましたらお気楽にご相談ください。

執筆担当:獣医師 尹 動物医療センター元麻布トップページ
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