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※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

歯科処置
歯周病とは歯垢(プラーク)中の細菌などが原因で歯肉に炎症が起き、歯根膜、歯槽骨、歯肉、セメント質等の歯周組織が破壊・吸収される進行性の病気です。
2歳以上の犬の80%は何らかの歯周病の兆候を示すと言われており身近な病気と言えます。今回はそんな歯周病の治療・予防についてご紹介いたします。
歯の内部構造を示します。
歯周病の症状としては、
1.歯垢や歯石の付着
2.歯肉(歯ぐき)の赤み・腫れ
3.口臭がする
4.歯がグラグラする・抜ける
5.硬いものを食べたがらない
などが挙げられます。さらに炎症の波及に伴い目の下や頬の腫れや、くしゃみ・鼻汁・鼻出血が見られることもあります。
また、病態の悪化により血行性や免疫反応により心臓・肝臓・腎臓といった遠隔臓器に影響を及ぼす可能性も考えられます。

歯周病は進行程度によって大まかに歯肉炎と歯周炎に分けられます。
歯肉炎は炎症が歯肉には認められるますが骨までは及んでおらず歯肉の退縮がない状態であり、ホームケアやスケーリングで治癒が可能です。
歯周炎は歯肉炎がさらに進行し、炎症が歯槽骨やセメント質にまで波及しており、歯肉が退縮している状態です。治療によって進行を止めることは可能ですが、一度退縮した歯肉は元の状態には戻らないため、普段からの予防や早めの治療が大切です。
診断については、上記のような症状があるかどうかで歯周病の有無を判断します。レントゲン撮影にて歯槽骨の状態を観察しステージの評価や治療方針の決定を行う場合もあります。

今回の症例は中等度~重度に歯石が付着しておりスケーリングを行いました。
こちらが術前の写真です。
こちらが術後の写真です。
歯周病の治療には主にスケーリングを行います。

スケーリングの手順は以下の通りです。
1.以下の写真のような「超音波スケーラー」という器具を用いて歯石やプラークを落としていきます。
2.目に見える範囲の汚れだけでなく、歯周ポケット内の浄化(ルートプレーニング)も行います。
3.歯周病の進行程度によっては抜歯を行います。
研磨剤で歯の表面を滑らかにします(ポリッシング)。
コーティング剤で歯の表面の汚れの付着をつきにくくします。
超音波スケーラーの写真を示します。
歯周病の治療は歯周ポケット内の歯石を除去することが重要ですが、無麻酔で行うスケーリングでは目に見える範囲の歯石しか除去できず、動物の健康維持にはほとんど効果がありません。また、ポリッシングを十分に行えず歯の表面が粗造であるとプラークが再び付着しやすい状態となってしまいます。その他、意識下で無理やりスケーリングをすることで、鋭利なスケーラーの先端で口腔内を負傷したり、その後のホームデンタルケアを嫌うようになったりするといったデメリットもあります。
以上をふまえ、当院では麻酔をかけた状態でのスケーリングを推奨しております。

また、歯周病は家庭での歯磨きによって予防が可能な病気です。小さい頃から口腔内を触られることに慣れさせておくことが望ましいでしょう。歯磨きが苦手なわんちゃんは、口を触ることから始め、ガーゼで歯を磨く、歯ブラシを口腔内に入れるなど、いくつかの段階を踏み、最終的に歯磨きができるように練習するとよいでしょう。

近ごろ口臭が気になる、歯が汚れてきたかも、など、些細なことでもお気軽にご相談ください。

執筆担当:獣医師 中広
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