アポクル予約
※インターネットからの予約方法

※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

猫の甲状腺機能亢進症
●甲状腺機能亢進症とは
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺から出るホルモンが過剰に分泌されることによって起こる全身性の病気です。
人ではバセドウ病と呼ばれ、一般的に高齢の猫(特に10歳以上)の内分泌疾患で最も多いと言われています。甲状腺ホルモンは体のほとんどの組織に作用して代謝を盛んにする働きがあります。ホルモンの作用によりエネルギー産生が高まる、心臓の動きが活発になる、体温が高くなるなど、一見体を良い方向に変化させている様に見えます。ですが、体内の組織が過剰に活性化されることで体に負担がかかり、早期に老化が進行してしまう病気です。
●症状
ホルモンが過剰に分泌されることによる症状として以下に記載するものがあります。

・食欲が増えているのに体重が減ってきている、痩せてきている
・性格が攻撃的になっている、落ち着きがない
・水を飲む量とおしっこの量が増えている
・嘔吐、下痢
・毛づやが悪くなっている、または脱毛が見られる
・脈が速い
●診断
甲状腺機能亢進症の診断は、血液中の甲状腺ホルモン(T4、f T4)を測定して行います。
高齢の猫ではこの病気によって腎不全の存在が隠れていることもあるため、上記の検査を含めたスクリーニング検査を行い腎臓の機能についても評価します。
甲状腺機能亢進症によって甲状腺自体が腫れている(腫大)かを触診するときは猫ちゃんに上を向いてもらい首元を触ります。
●治療
治療としては、内科療法、外科療法、食事療法があります。
内科療法では抗甲状腺薬を使用します。お薬によって症状が改善する、もしくは血液中のホルモン濃度が減少するか、またお薬による副作用(食欲低下や皮膚炎)が出ないかなど定期的に検査をしていきます。
外科療法では甲状腺の摘出を行います。内科療法で症状の改善が見られない場合に検討します。
食事療法では甲状腺ホルモンの材料となるヨウ素の摂取を制限することで合成を抑制します。ヨウ素を制限した猫のための療法食が市販されているため、抗甲状腺薬の代替法として選択されることもあります。

食欲があり、元気で健康的に見えるかもしれませんがこの病気が隠れていることもあります。当院では猫の健康診断(CAT DOCK)も実施しており、甲状腺ホルモンの検査も可能です。
猫は人の1年で4、5年分歳をとっているとも言われています。上記のような症状が見られる場合や、猫の健康診断を実施したいなど、気になることがありましたらお気軽に当院にご相談ください。

執筆担当:綱嶋